【インタビュー】18th Single「selection」
2026.04.03
4月1日にリリースされる、ユナイトの最新シングル『selection』。
3月29日、LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて開催された15周年ワンマンライブ『UNiTE. 15th Anniversary oneman live [U&U's -selection-]』で先行販売され、ライヴ本編では本作に収録される新曲(SEを除く)をすべて披露。さらに、『selection』のMVが初公開された。
これまでに重ねてきた数々の“選択”、そしてその選択を“肯定していく未来”――結成15周年、希加入から3周年という大きな節目を迎えたユナイトの想いが、“selection”という言葉に込められている。
すでにライヴで楽曲に触れた人も、これから初めて耳にする人も、今のユナイトが本作の制作にどのように向き合ったのか、そのプロセスを感じながら読み進めてほしい。
―― シングル『selection』は、ズバリ15周年を見据えたタイミングでリリースされる作品となります。
椎名未緒 毎年、周年のタイミングでは何かしらのリリースがあったし、アルバム『FANTASTiC』からリリースがなかったので、みんなに「周年のタイミングでシングルを出すので最低2曲くらい曲が欲しいです」と伝えたところから始まって。今年の始めに選曲会をしたんですけど、思ったよりも曲が集まったところから表題曲や収録曲数が数珠つなぎに決まっていきました。
―― 1曲目のSE『Hi-Tech NERDS on』は、ワンマンツアー「FANTASTIC NERDS」でも登場SEとして使用されていましたよね?
莎奈 はい。そこから一部改良したものが収録されています。
―― SEを含めた新曲4曲と、『ice』の再録バージョン『ice -153-』の計5曲という、今回もまた「シングルの定義とは?」といったボリュームですけれど……。
一同 (笑)
―― でも、新しい曲がどんどん生まれる状況が素敵です。さっそくリード曲『selection』からうかがっていきますが、選曲会の折に決め手となったのはどういったところだったんでしょう?
椎名未緒 これは、LiNさんの激押しにより「コレです!」と。
莎奈 ウチの“選曲リーダー”ですから。
LiN 最近は、もっぱらそうですね。しかもこの曲、今回のシングルのために作ってきた新曲から選んだというより、数ある“未緒ストック”の中からサルベージしたんですよ。
椎名未緒 確か、10周年ぐらいに作ってた曲だったかな。
LiN 選曲会のときにみんなの新しいデモと、未緒さんのストックもチラホラ流してたんです。そのときに、「これだっ!」と。「これをアレンジしていきましょう」と、未緒さんに伝えました。
椎名未緒 LiNさんから「これを“周年っぽく”してください」と。
LiN そのリクエストの仕方、我ながらヤバいっすね(笑)。でも、そのときに並んでいた曲の中では、「これが今の僕たちに一番合ってるのでは?」と思ったんですよね。それで、表題にする曲が決まってから、他に収録する曲を曲調の違うものから選んでいったという感じです。
―― すると、かつて未緒さんは10周年のタイミングを想定して作っていた曲でもあって、ある意味アニバーサリー要素も意識していたところもあったと思うんですけれど。
椎名未緒 サビの最後が“終わらない”という歌詞で、メロディーラインも『starting over』と同じなんです。この曲を作っていた当時も、あえてそういうものにしようと考えていました。
―― そこから、“15周年のユナイト”に照準を合わせてアレンジしていくにあたってポイントとなったのは、どういったことだったんでしょうか?
椎名未緒 まず、『selection』は15周年のライヴでも披露するだろうという前提があって。構想の発端となったのは、14周年のライヴでゲストミュージシャンとしてピアノとバイオリンに入ってもらったんですけど、「15周年でもカルテットを呼んだらかっこいいですね」みたいな話が雑談の中であったんです。実現するかは別として、その構想を基にして楽曲も生っぽい楽器で構築していこうかなとは思っていました。デジタルっぽいシンセよりも、バイオリン、ビオラ、チェロ、あとピアノと。今だったらそういうアレンジの方が、「Francfrancっぽいのかな?」とも思って。
一同 (笑)
―― LiNさん曰く、ユナイトはFrancfrancをイメージしているということなので。(※FC内「15周年ライヴへ向けて」インタビュー参照)
椎名未緒 いわゆる、オーガニック、ナチュラルな感じといいますか。サウンド感ではそういったところを意識したのと、選曲会でこの曲が決まった段階で希が「全員で歌いたい」と言っていたので、「じゃあ、全員で歌うところを作るか!」って、盛り込んでいった感じです。
―― 曲の終盤、希さんと楽器隊の掛け合いのような形で歌うセクションは非常に印象的でした。希さん、ナイスアイデアです!
希 あはは(笑)。ただ、どうしてそれが浮かんだのかは、実はあんまり覚えてないんですよ。でも、曲が決まったときもそうだし、RECしていてもいつも以上に「この曲、いい曲だな~」って思ったんですよね。
椎名未緒 確かに、「めっちゃテンション上がったから、すぐ録ります!」って言ってたのを覚えてます。
希 無意識に、すごく心打たれるものがあったんだと思います。僕、AIに自分の声を覚えさせて“AI希”を作ったんですよ。そのAIに歌わせてみたときに「この曲、ヤバい!」ってなって、曲のイメージがどんどん沸いてきたんです。だから、普段はRECにそこまで時間がかからないんですけど、録って録って録りまくってたら6時間ぐらい歌ってました(笑)。
―― それぐらい、希さんを掻き立てるものがあったんですね。
希 そうなんです。ひとしきり歌い終わって「ふう」って一息ついたら、朝6時ぐらいでした(笑)。歌っていても楽しかったし、この曲、かなり好きです!
―― そして全員で歌う部分の最後に、『ファンファーレ』の一説がメロと共に入っています。10周年のときにリリースされた曲が、ここで蘇るという。
椎名未緒 もともとこの曲はデモの段階で、サビがハーフテンポと速いテンポと2パターンあったんです。ハクさんは「ハーフテンポのどっしりした感じが今のユナイトっぽい」と言っていて、LiNさんからは「スピーディーな方が好き」っていう意見もあったので、構成の妙で両方をいい感じにまとめていったんです。それで最後をハーフテンポにして全員が歌うセクションにしたんですけど、あまりそれが長すぎるのも野暮ったいなと前半のみにしたんですが、その後半が空いてしまったんですよ。メンバーが歌う象徴的なセクションの後に追い討ちのようにグッとくるメロディーが欲しくて、何かいいアイデアがないか考えていたときに、昔の自分の曲のサビのメロを色々はめてみたらどれも悪くなかったんです。そこで、どの曲にしようかなって考えた時に、“渋谷公会堂で演奏する”ことを考えたら、『ファンファーレ』かなと。
―― 10周年の渋谷公会堂でも『ファンファーレ』は披露されていて、実はそれ以降演奏されていないんですよね。
椎名未緒 10周年のライヴは、コロナ禍でやっぱり思い出として心残りがあるのは事実で。しかも11周年以降はファンファーレって曲がある種曰く付きになってしまった以上、どうしてもそれがフラッシュバックしてしまうから、やってこなかったというのが正直なところだったんです。
莎奈 なんというか、やりづらい曲になってしまったというか……。
椎名未緒 そう。でも『ファンファーレ』はめっちゃ好きな曲なので、ここで全ての選択を肯定する意味でも、歌詞の中で今のユナイトとしても共有できるフレーズを入れたという経緯ですね。
ハク その部分のベースは、『ファンファーレ』とまったく同じにはできなかったんですけど、同じ音階の音を入れています。
―― 今回『ファンファーレ』からピックアップされたフレーズは、ユナイトとファンの関係性を表す部分でもありますね。さて、選曲リーダーとしては的確なチョイスだったと思いますけれど、実際に曲が完成してみていかがでしたか?
LiN ワタシも、めっちゃ好きな曲になりました。やっぱり、安心するんですよね。長年活動していると、結成当時と芸風が変わってくることもあるじゃないですか。
莎奈 芸風(笑)。曲調ってこと?
LiN そう! パンクバンドだったはずなのに突然EDM系になるみたいな、コンポーザーの趣味によって音楽性が変わっていくことってあると思うんですよ。まあ、それはそれでかっこいいんですけどね。でも、ユナイトは15周年を迎えた今でも、“未緒さんの風味”ってずっとあると思うんです。ユナイトの現在の正解はこれなんだろうなっていうのが、『selection』に詰まってるというか。
―― そうですね。それに、純粋に“未緒さんのファン”というところから始まっているLiNさんは、人一倍感じとれるものがあったのかもしれません。
LiN ファンの子も安心すると思うし、「こういう曲を作る人だから好きなんだよな」っていう原点でもあるから、未緒さんを知ったときの感覚に戻れる曲でもあるんですよね。ワタシ、当時『Eniver』とか『world wide wish』をレコーディングしていたとき、自分が好きだったキャンゼルの人たちと同じ曲を演奏してることにかなり感動していた思い出があって。あの時と同じような感覚になる曲ですね。キャンゼルだった未緒・ハクの中に入ったワタシと、その後に加わった莎奈と希で、ワタシが好きな椎名未緒さんの曲を作っていることが、やっぱり「いいな」と。
ハク LiNさんの話に近いんですけど、未緒さんが作り上げてきたユナイトのパブリックイメージというか、ユナイトの根本にある部分を今の5人で固めたような感覚なんですよ。まさに、“ユナイトとは”みたいな。LiNさんも「ファンの子も安心すると思う」って言ってましたけど……ラーメンを食べたくて店に入ったのに、変わり種のカレーラーメンとかトマトラーメン出されたら「ちょっと違うな」ってなるじゃないですか。
―― そこは、王道なザ・ラーメンを食べたいところですよね。
ハク そう! もちろん変わり種も美味しいだろうけど、「今食いたいのはこれだ」っていうものを届けてるような。ユナイトが好きな人には、すごく刺さると思うんですよね。ユナイトで未緒さんを軸に積み上げてきたものがギュッと詰まってる曲になってると思うし、それが安心感でもあるし、俺としてはちょっと懐かしさみたいなものも感じましたね。
莎奈 イントロからいいですよね。未緒さんの最近の曲は割と明るいメロディーラインのサビが多くて、その中でバリエーションを出すのって難しいと思ってるんですけど、今回は未緒さんらしいラインでありながら、また新しい感じが出てきたので「いいな」と思いました。
―― 明るい中にも感慨深さというか、せつなさもあるというか。
莎奈 せつなさの配分も変わってきたと思うんですよ。昔はどちらかというと、もっと泣きの雰囲気があったというか。でも、ドラマチックさはそのままで、全体的に明るくなったと思う。それには希の音域も関係してると思うんですけど、単純に音域が広がったことで未緒さんの表現力をフルに使えるのかな、と。なので、ドラムも明るい音色にしています。それに自分は、ストリングスとかピアノの壮大な質感で曲を作るのが苦手なので、「自分には作れないな」と毎回思うんですけど、今回もそう思いながらレコーディングしたのを覚えています。
―― そんな莎奈さん作曲の新曲が、『ぼくらのカルチャー』です。
莎奈 第一回目の選曲会のときに0.2曲ぐらいしか作っていなくて……つまり作ってないんですけど(苦笑)。でも渋谷公会堂が控えていて、「楽しみにしてる」って言ってたヤツが曲を作れなかったことが悔しくて。「すいません、1曲だけ作らせてください!」ってお願いして作らせてもらった、気合いの1曲です!
椎名未緒 ちょうど選曲会をする少し前に、俺が10代のときにコピーバンドを一緒にやっていた地元の友だちと何年かぶりに会ったんです。その友だちはもうすっかり音楽から離れてるんですけど、ユナイトの曲を聴いてくれているらしくて。その友だちが口を揃えて、「ドラムさんの曲は独特でいいね。クセになる」って言ってたんです。それを聞いたときに、確立された“莎奈っぽさ”みたいなものがオーディエンスにちゃんと伝わってるんだなと思ったんですよ。昔のユナイトは、未緒とLiNのツインタワーみたいなことも掲げていたんですが……。
―― 実際、お2人がメインコンポーザーでしたからね。
椎名未緒 でも今は、3人なのかなと思っていて。もちろんユナイトは全員が曲を作れる強みはあるんですけど、象徴的なのものが二極から三極になったっていうのは、ユナイトが積み重ねてきた歴史の中で生まれた一つの要素でもあるんだなって感じる瞬間でもあったんです。だから選曲会でも、「これは選ばれるだろうな」というのが第一印象としてありました。
―― 未緒さんの思う、莎奈さんの曲っぽさというのはどういうところなんでしょう?
椎名未緒 一聴してわかるのは、主にシーケンスの雰囲気ですね。俺もLiNさんも使わないような音使いがそう思わせる要素だと思うんですけど、今回も選曲会で莎奈さんが持ってきた曲のカケラになるものを聴いたときに、「これが莎奈っぽさなんだな」っていうサウンド感を感じたので。
莎奈 自分が今何をすべきかっていうのは、正直全然わからなくて。ただ、普通に作っても他のメンバーには負けるから、「じゃあ、変わったことをしないと!」ってなるんですけど。でも、変わったことをしようと思ってすることって、変わったことではないのでは? みたいな考えもあって、いろいろ考えこんでしまうんです。
―― そういった哲学的思考に突入してしまうのは、なんとも莎奈さんらしい。
椎名未緒 いわゆる“隙間産業”みたいなことだと思うんですけど、それがちゃんとアイデンティティとして構築されてるってすごいと思うんですよ。『ぼくらのカルチャー』の完成系も、サビこそ莎奈さんが普段あんまり使わないメジャー調の進行でしたけど、そこも“莎奈のメジャー調”という感じ。それが聴き手にはクセになるんですよね。
莎奈 サビは、自分が今まで使ったことのないコード進行で作りたいっていうのがまずあって、メチャクチャ明るくしたんです。これまではだいたい“こういうふうにしたいからこうする”って理由から考えていたんですけど、今は“こうする”って決めて最終的につじつまを合わせていく方向に近いというか。
希 確かに、サビがいつもの莎奈さんの曲の雰囲気とは全然違ったので、最初デモを聴いたとき「どうしちゃったんですか!?」って言いました(笑)。もちろんネガティブな意味ではなかったんですけど、Aメロ・Bメロがタイトなリズムできて、サビで急に大きいリズムになるからサビが飛び出してくるんですよね。だからすごく耳にも残るし、いろんなことができそうだなと思った曲です。ライヴでやったときに、お客さんにどう映るのかがすごく楽しみな曲でもありますね。
―― ちなみに、ボイスチェンジャーを使用しているところもありますよね?
莎奈 そこは、希が歌ったものを使っているんですけど、適当に歌ってもらった中で一番下手なやつを使いました(笑)。
希 今回、歌は莎奈さんと一緒に録ったんですけど、レコーディングが終わったときに「この曲はもうちょっと歌い込まないとな」って思った記憶はあります。
莎奈 でも俺は、始終「上手ぇ!」しか言ってなかった気がする(笑)。
―― 莎奈さんの曲の特徴は歌詞のテイストもあると思うんですが、今回は毒めいたところもありつつ。
莎奈 歌詞は、前々から思っていたことだったんでサッと書けました。SNSって“自分の立場をハッキリさせないといけない”みたいな風潮があると思っていて、例えば、政治的主張に対する頻度の高さが意識の高さだと思われていることにも違和感があるし、それに対して「アーティストならなにか主張しろ」って迫ってくる、二元論過ぎるところがずっと気になっているんです。延々と「“正解か不正解か”"敵か味方か"みたいなことばっかりやってるな」と思うんですよね。そういうのを見るとSNSを持て余しちゃってるというか、実際に現代人ってSNSをちゃんと使えてないんですよ。
―― “マルクスもSNSも人類に早すぎる”、まさにこれですね。
莎奈 でも自分自身は文化を感じられることが好きなんで、歌詞でも曲でも、いろんなカルチャーを1曲に入れたつもりです。
―― そして、LiNさん作曲の『エウロパ』は『ZEAL LiNkun TOUR』からいち早く披露されていました。もともとは、どんな楽曲をイメージして作られたんでしょう?
LiN 実はワタシも莎奈と同じで、全然結果を出せていなくて。「曲を作るぞ!」って強く意気込むほど、曲が作れないんです。そんなときに、「メタルの曲が欲しい!」と思って作った曲が原型になっていますね。ギターが刻んでる曲って、ユナイトにないなと思って。そういうギターをワタシと未緒さんがハモりながら弾いてるのって、ウケるなと思ったんですよ。
―― まさかの、ウケを狙ったんですか(笑)。
LiN ユナイトは基本的に歌もの系のバンドだと思っていた子が、ライヴに来てみたらビックリするだろうなっていうのを想定していたんです。普段自分があまり使わないコード進行を使った曲を選曲会に持って行ったんですけど、最終的に仕上げていく過程でメタル要素は全部なくなりました!
一同 (笑)
―― 恐らく、曲の速さだけは残ったという感じでしょうか。
希 速いし、しかも(キーが)高いんですよ。そこはちゃっかりメタル要素が残ってると思います。『エウロパ』を歌うことに関して、“400メートル走綱渡り”っていうのが個人的にベストな表現だと思ってるんですけど、ペース配分的にも400メートル走が一番しんどいのと、キーが高くて難しいので綱渡りしている状態なんです。少しでも外したら終わるっていう、速さの中ですごく正確性を求められる曲ですね。でも、こういう曲は僕の遺伝子に割と組み込まれているテイストでもあったので、苦手意識はそんなになかったんですけど。
LiN だから、RECも早かったですよ。それに、音源で聴いているよりも、演奏している体感はもっと速いんです。作った自分が、「こんなんじゃ弾けねぇだろ!?」って思いながら演奏してるので(笑)。
椎名未緒 選曲会の段階で聴いたときから、確かに速かったしギターは刻んでたんですけど、この感じはきっとなくなるんだろうなと感じてました。
LiN 先読みされてた(笑)!
椎名未緒 でも、そういうLiNさんのゼロか100かの極端な発想がユナイトの指針のきっかけになることも多いんですよ。この曲も、メタルじゃなくてもおもしろい曲になりそうだっていう手応えは最初からありました。
―― そして“エウロパ”ということから、過去に出してきたLiNさん曲の『イオ』や『ジュピタ』のシリーズでもあるのかな、と。
LiN はい。“木星シリーズ”第三弾と銘打ちました! ただ、これまで『イオ』の関係性に準えて『ジュピタ』を作った過程を考えると、『エウロパ』は少し浮いているんです。というのも実はこの曲、ワタシの中では後輩のテーマソングというか、応援ソングなんですよ。彼が活休している間、心配で週1ぐらいで会ってたんですけど、そのときに「今みんなに伝えたいこととか、自分が強く思ってることってある?」って聞いたんです。本人は周りに迷惑をかけていることをすごく気にしていたけど、「一旦気にしないでもいいんじゃない?」っていう思いで歌詞を書いたら、結局自分にも刺さってくる部分があって。タイトルも、「木星の衛星で一番名前がかっこいいのは?」って聞いたら、「“エウロパ”ですかね」っていうので決まったんです。きっかけは応援ソングだったけど、最終的にファンの人もこれを聴いてホッとしたり、元気を出してくれるような曲になったと思っているんですよ。
―― 具体的な主人公がいたとは初めて知りましたが、確かに気持ちが軽くなるポジティブさは感じられました。
LiN 要はこの曲で言いたいことって、「なんでもいいんじゃね?」みたいなことなんですよ。そもそも“エウロパ”も人間が勝手につけた名前だし、逆にエウロパに生命体がいるとしたら地球にいるワタシたちはなんて呼ばれてるのかわからないし。惑星自体も、望遠鏡で覗かなきゃわからないのと同じで、心の中もよく見てみないとわからないよねっていう。
―― よく、宇宙規模で考えたらちっぽけに思えるなんて言いますけれど、思い悩んでいることも、少し視点を変えることで見方が変わるかもしれないですもんね。
LiN そういうことです! しかも、『イオ』のシンセをプログラミングしてくれた方に、「『イオ』の友だちの曲なんで、この曲も宇宙にしてください」って頼んでシンセを作ってもらいました。
―― ハクさんは、『ぼくらのカルチャー』と『エウロパ』とテイストが異なりますが、それぞれアプローチで意識したことはありましたか?
ハク プレイ面で言うと、今回は全曲通して一音一音をとにかく大事にするっていうテーマが自分の中にあったんです。最近、ここ1~2年の周年ライヴの映像編集をしていたときに、自分のプレイを客観的に見たり聞いたりしていて「コイツは誠意が足りねぇ!」って思ったんですよ。もちろん、当時も雑な心境で演奏していたわけではなかったけど、ファンに聴かせる演奏は、もっと洗練させたいと思ったんです。それからずっと自分が出す音に意識を向けていて、特に今回はドラムとの合わせ方とか、右手のストロークはめちゃくちゃ気にしてRECしました。だから、『エウロパ』はすごく腕がパンパンになります(笑)。
―― ハクさんのおっしゃる、“ドラムと合わせる”が肝になってくると思うんですよね。
ハク そうなんです。“漢らしさ”を詰め込んだというか、ピッキングアップの鳴りとか、ミュートの甘さをすごくシビアに考えて全曲録りました。『ぼくらのカルチャー』はド頭にベースが刻むところがあるので、そこにメチャクチャ時間を使って。いつもリア付近でピッキングしているのをフロントあたりでしていて、フレットノイズを乗せるやり方をしたんですよね。音自体はそんなに歪んでないんですけど、ピッチを崩さずにジリジリっていう音を乗せる、弾き方を工夫するところを今回のRECではかなり意識しました。
―― そして、今回は現体制になってから初めて渋谷公会堂に臨むということと、周年ということもあって、12年前の莎奈さん加入時に当時の渋谷公会堂で初披露した『ice』を再録しています。『ice -153-』として、一足先にMVも公開されました。
希 『HOPES #1』に収録されている『ice』は、僕の歌だけを録り直したものだったので、今回の『ice -153-』は全体を録りなおしているバージョンになります。
―― 割と現在ライヴで披露しているアレンジのままにレコーディングした、という感じでしょうか。
ハク ちょろっとフレーズを足しているところもあるんですけど、基本的にはライヴでやっているままですね。細かいことを気にせず、好き放題やったところはあります。
―― それに、『エウロパ』のストレートさと『ice』の飛び道具的な部分との比較で、LiNさんの作曲遍歴が見えるところもポイントかなと思います。
LiN 今となっては、ワタシ自身が“愛と調和の精神”になってきてるところもあるので!
一同 (笑)
―― ちなみに、『ice -153-』の“153”とは何を意味しているんでしょう?
LiN スラングで、“I(1文字) LOVE(4文字) YOU(3文字)”を“143”って表すらしいんですよ。だから、“I ADORE YOU”で“153”。なにかしゃれたワードをつけてオリジナルと差別化したいなと思ったときに、意味深だし、意味合い的には『ice』のストーリーにも合ってるから、いいかなと思って付けました。こういうところも是非、深読みしてほしいですね!
―― ユナイトの曲には、そういったところの楽しみもありますからね。さて、選曲リーダーの采配で『selection』を軸にシングルが仕上がりましたけれども……。
LiN 率直に、「これで行きましょう」って、「『selection』が表題曲でいいね」って言えるメンバーでよかったなって思います。基本的にユナイトは、愛と調和の戦士たちなんで。
―― “愛と調和”ブームなんですね(笑)。でも、同じ価値観って大事だと思います。
LiN そう。みんなが“自分はすべての一部である”という意識を持っている気がするんですよ。LOVE & PEACEだし、今のユナイトは本当に、“ワンネス”な状態だと思うんです。